第79回 ヴェネツィア国際映画祭 ヴェネツィア・クラシック・ドキュメンタリー部門ノミネート
第79回 ヴェネツィア国際映画祭 ヴェネツィア・クラシック・ドキュメンタリー部門ノミネート
2022年
ヘント国際映画祭アーティスト・オン・フィルム部門
ノミネート
2022年
Doclisboa国際映画祭ハートビート部門
ノミネート
2023年
ビリニュス国際映画祭(VIFF)キノ パヴァサリス ドキュメンタリー部門
ノミネート
2023年
イッツ・オール・トゥルー国際ドキュメンタリー映画祭
国際映画賞
ノミネート
Review
ゴダールの人間らしく正直な肖像を映し出した本作は、
映画監督や芸術家としての重要性だけでなく、
彼を一つのカテゴリーに還元することがいかに困難であるかを明らかにする。
Cults e Cinéfilos
個人的なものと映画的なものを結び付けた本作は、
自分自身を決して見出すことのないまま、
自己改革のため自らの人生と愛する能力を犠牲にした
一人の男の肖像を見事に描きだした。
Filmuforia
すべてであり、その反対であろうとした、
千の顔を持つ男のポートレート。
何よりもゴダールの人間性、欠点、
そして遊び心と笑いに満ちた
子供のような側面が明かされる。
ARTE
Introduction
2022年9月13日、スイスにて91年の生涯を閉じたジャン=リュック・ゴダール監督。1930年12月3日パリ生まれ。1950年代末から60年代のフランス映画界で革新的な映画運動、「ヌーヴェル・ヴァーグ」を先導し、常に独自のスタイルを開拓・探究しながら最前線を駆け抜けたシネマの巨人にして鬼才。自ら選択した安楽死だと伝えられた衝撃の死から1年。いま改めて振り返る20 世紀映画界の伝説であり永遠の反逆児、ジャン=リュック・ゴダールの人生とは?その伝説の陰に隠された、一人の「人間」としてのゴダールの知られざる素顔に迫る最新ドキュメンタリー。
「ヌーヴェル・ヴァーグ」の旗手として、時代を熱狂させた“流行監督”としての1960年代。その華々しさに自ら背を向けるように突進していった68年の五月革命をターニングポイントとする政治の季節を経て、70年代の内省と再生、80年代に入ってからのキャリアの劇的な復活。唯一無二の映画作家、ジャン=リュック・ゴダールの“映画=人生”を紐解き、革新的な功績を網羅的に紹介する構成は、容易に捉え難い映画作家の全貌を整理できるのと同時に、初めてゴダール作品に触れる映画ファンにもゴダール入門として最適なものといえるだろう。
ジャン=リュック・ゴダール Jean-Luc Godard
1930年12月3日、フランス、パリ生まれ。映画批評家として出発し、数本の短編を撮った のち、『勝手にしやがれ』(60)で長編デビュー。「映画の革命」と呼ばれ、世界の映画界に衝撃を与える。60年代はアンナ・カリーナとの蜜月から生まれた『女は女である』(61)、『女と男のいる舗道』(62)、『はなればなれに』(64)など、「カリーナ時代」と呼ばれる作品群を発表。65年にはヌーヴェル・ヴァーグの最高傑作と評される『気狂いピエロ』、67年に『中国女』を製作するが、五月革命以降は『ウイークエンド』(67)を最後に商業映画との決別を表明し、『ワン・プラス・ワン』(68)、『東風』(70)など作風はより前衛的で政治色の強いものになる。77年にスイス、レマン湖畔のロールに拠点を移し、『勝手に逃げろ/人生』(80)で商業映画に復帰。『パッション』(82)、『右側に気をつけろ』(87)をはじめとする劇映画のほかに実験的なビデオ作品も数多く製作した。その後は『ゴダールの映画史』(88-98)の製作に没頭。21世紀に入っても、『アワーミュージック』(04)、『ゴダール・ソシアリスム』(10)、3D映画『さらば、愛の言葉よ』(14)、『イメージの本』(18)などを発表するが、2022年9月13日にスイスにて91歳で逝去した。
Story
1950年代末から60年代のフランス映画界で革新的な映画運動、「ヌーヴェル・ヴァーグ」を先導し、常に独自のスタイルを開拓・探究しながら最前線を駆け抜けたシネマの巨人にして鬼才、ジャン=リュック・ゴダール。自ら選択した安楽死だと伝えられた衝撃の死から1年。いま改めて振り返る20世紀映画界の伝説であり永遠の反逆児、ゴダールの人生とは?その伝説の陰に隠された、一人の「人間」としてのゴダールの知られざる素顔に迫る最新ドキュメンタリー。
Cast
(ゴダールについてのコメント)
マーシャ・メリル
Macha Méril
フランスの女優
彼は純粋な魂なの
肉体のない人間だと思う
ティエリー・ジュス
Thierry Jousse
フランスの映画批評家、映画監督
彼の興味は映画の可能性だけだった
クリストフ・ブルセイエ
Christophe Bourseiller
フランスの歴史家、作家、俳優
素顔のジャン=リュックはとても楽しい人間だ
冗談も言うし、英国流のユーモアがあった
アラン・ベルガラ
Alain Bergala
フランスの映画批評家、エッセイスト、映画監督
彼は自分の伝説を作るのが好きなんだ
マリナ・ヴラディ
Marina Vlady
フランスの女優
私にとって彼は大切な友達で、
ある意味兄妹でもあった
ロマン・グーピル
Romain Goupil
フランスの映画監督
 
ダヴィッド・ファルー
David Faroult
フランスの映画研究者。ルイ・リュミエール国立学校教員
ゴダールはパンクなんだ
ルール無視の反抗児だ
ダニエル・コーン=ベンディット
Daniel Cohn-Bendit
欧州連合の政治家
彼はゴダールという影の犠牲者なんだ
挑発者としての自分に苦しんだ
アントワーヌ・ド・ベック
Antoine de Baecque
フランスの歴史家、映画・演劇評論家
 
ジェラール・マルタン
Gérard Martin
元ジガ・ヴェルトフ集団メンバー
突然心から笑う、
あの笑顔が大好きだった
ナタリー・バイ
Nathalie Baye
フランスの女優
偉大な監督で
気難しいと言われているけど、
私にはとても優しかったし、
彼との仕事はいつも幸せだった
ドミニク・パイーニ
Dominique Païni
シネマテーク・フランセーズ館長1990-2000
ゴダール後の映画は元に戻れない
ピカソ後の絵画が元に戻れないように
ハンナ・シグラ
Hanna Schygulla
ドイツ生まれの女優、歌手。
彼は子どものように傷ついていた
ジュリー・デルピー
Julie Delpy
フランスの女優、映画監督、脚本家
彼は独特の社会性があって、
常に何かを創造している
そうしてないと狂ってしまうから
Staff
脚本・監督・編集
シリル・ルティ
Cyril Leuthy
監督の言葉
ゴダールに対するモチベーションが湧き上がったのは、彼がすべてを承認しているためです。彼は他の映画作家を自由にさせ、果敢に挑戦させ、習慣に歯向かわせるのです。この映画を作ることは、他の誰よりも自分の芸術を本当に信じている一人の芸術家を探求することでもあります。これほどまでのアイデア、映画、アーカイブの海を航海するために、私は謙虚であり続けながら、彼を知る人々の声を伝えるという道をたどりました。この映画は、彼の映画についてというよりも、彼自身についてのものですが、それがゴダールのことになると、映画と人生は融合し、最後には映画についても語ることになるのです...
Profile
フランスの映像・音響専門の高等教育機関、ラ・フェミス(国立高等映像音響芸術学校)で映像編集を学び、卒業後は多数のドキュメンタリーや劇映画の編集に携わる。編集を手掛けた主な作品に『Mods』(02/セルジュ・ボゾン監督)、『椿姫ができるまで』(12/フィリップ・ベジア監督)、『1992年』(短編/16/アントニー・ドンク監督)など。2015年の『La nuit s’achève』は、第46回ヴィジョン・デュ・レール(ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭)でRegard Neuf特別賞を受賞し、第21回Chéries-Chérisパリ国際LGBTQ+映画祭の審査員賞を受賞するなど、各国の映画祭で高く評価された。その後も俳優やアーティストをテーマにしたドキュメンタリー作品を発表しており、フランスのシャンソン歌手、バルバラやジャン=ピエール・メルヴィル監督、俳優・歌手のモーリス・シュヴァリエなどのドキュメンタリーを手掛けている。本作『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)』は、2022年の第79回ヴェネツィア国際映画祭ヴェネツィア・クラシック・ドキュメンタリー部門にて上映された。