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INTRODUCTION
ろう者のアイデンティティの確立という社会課題を青春ドラマに昇華させたのは、香港の俊英、アダム・ウォン監督。ソフィーにはラジオDJ出身のジョン・シュッイン。パンサー・チャンの主題歌「What If」の作詞も担当し、今回の演技で第61回金馬奨の最優秀女優賞を受賞。ジーソンには若手演技派でYoutuberでもあるネオ・ヤウ。一年間におよぶ猛特訓に挑み、手話を体得した。アランには中等度難聴で実生活でも口話と手話を使う、演技未経験のマルコ・ンを大抜擢。また、少年時代のジーソンとアランを演じた2人、中等度難聴のネイザン・チェン、コーダ (※)であるジェシー・ウォンのいきいきとした演技からも目が離せない。スタッフ、キャスト、エキストラとして、聴こえない人、聴こえにくい人、聴こえる人が協力して、本作を作り上げた。
昨年2月に香港で公開されると、若者を中心に大きな話題を呼び、2025年上半期、香港での香港映画興行収入ランキングでNo.1に輝いた。香港のアカデミー賞にあたる第43回香港電影金像奨では作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞を含む計7部門にノミネートされる快挙を果たした。さらに、第61回金馬奨(台湾)ではジョン・シュッインが最優秀主演女優賞を受賞。日本では3月、第20回大阪アジアン映画祭で初上映され、満席の盛況となりスペシャル・メンションを獲得。続く11月には、東京・高円寺で開催された「手話のまち 東京国際ろう芸術祭2025」にてアダム・ウォン監督が来日し、熱気あふれるティーチインも実施された。
※コーダ(CODA)とは、Children of Deaf Adultsの略称。聴えない、聴こえにくい親の元で育った聴者の子ども。
STORY
3歳で聴力を失い、人工内耳(※)を装用することで、「聴こえる人」として“普通”の生活を送ろうとしているソフィー。生まれながらのろう者であり、自身が手話話者であることを誇りに思っているジーソン。そして、ジーソンの幼馴染で、手話と口話を使いこなす、人工内耳装用者のアラン。ある日、人工内耳を推奨するアンバサダーとして、アランとソフィーは出会う。しかし、とあるイベントでソフィーが「科学が発展すれば、この世からろう者はいなくなる」と発言したことに、ジーソンは激怒する。最悪な出会いから始まった3人の関係は、それぞれの生き方に思いがけない変化をもたらしていく――
※人工内耳とは、聴覚障がいがあり、補聴器では十分な効果が得られない人がつける医療器具。受信コイルを皮下に挿入するため、手術が必要。外部に送信コイルなどの器具を付けることで使用できる。
CAST
ネオ・ヤウジーソン役
Neo Yau [游學修]
1990年、香港生まれ。香港演芸学院映画テレビ学部にて脚本を専攻し、学士号を取得。2014年、アダム・ウォン監督作『私たちが飛べる日』(15)で主人公を演じ、広く知られるようになる。その後、ViuTVのドラマシリーズ『Haters Gonna Stay(英題)』(19)では、自身初となる脚本・監督・主演を兼任。2020年には、YouTubeチャンネル「試當真 Trial & Error」を共同設立。現在は登録者数60万人を超える人気チャンネルとなっている。『私たちの話し方』(24)での演技により、第61回金馬奨および第43回香港電影金像奨にて最優秀主演男優賞にノミネート。デビュー以来、初の主演男優賞ノミネートとなった。
ジョン・シュッインソフィー役
Chung Suet Ying [鍾雪瑩]
1994年、香港生まれ。香港浸会大学で学んだ後、ラジオ局「叱咤903」でパーソナリティとして活動を開始。2019年にテレビシリーズ『教束』への出演を機に俳優としての活動を本格化させる。『黄昏をぶっ殺せ』(21/リッキー・コー監督)での演技により、第40回香港電影金像奨最優秀新人賞および最優秀助演女優賞にノミネート。『作詞家志望』(23/ノリス・ウォン監督)では、第60回金馬奨主演女優賞および第42回香港電影金像奨主演女優賞にノミネートされた。本作『私たちの話し方』で第61回金馬奨主演女優賞を受賞。主題歌「What If」では作詞も担当した。そのほか主な出演作に、『ゼロからのヒーロー』(21/ワン・チーマン監督)、『アニタ』(21/リョン・ロクマン監督)、『香港怪奇物語 歪んだ三つの空間』の一篇『デッドモール』(23/フルーツ・チャン監督)など。西條奈加の小説「千年鬼」を原作とするアニメーション映画『Another World(世外)』(25)では、主人公の声を務めるなど、話題作への出演が続く。
マルコ・ンアラン役
Marco Ng [吳祉昊]
2002年、香港生まれ。2歳で聴覚障がいがあると診断され、幼少期から補聴器を装着。小学校から手話バイリンガル・インクルーシブ教育(SLCOプログラム)を受け、手話と音声言語の双方を用いる。ダンスや音楽を学び、2021年には歌手シャーメイン・フォンのコンサートでダンサーを務める。2023年、ろう者を対象としたコンテスト「ミス&ミスター・デフ・ユニバース」でグランプリを獲得。本作『私たちの話し方』で演技に初挑戦し、第43回香港電影金像奨の新人俳優賞にノミネートされた。
STAFF
監督
アダム・ウォン
Adam Wong[黃修平]
1975年、香港生まれ。香港中文大学(CUHK)在学時より短編映画の制作でキャリアをスタートさせ、2004年に『ベッカム、オーウェンと出会う』で長編デビュー。同作で香港アジア映画祭インディペンデント・スピリット賞を受賞した。続く『魔術男(原題)』(07)では、第27回香港電影金像奨新人監督賞に初ノミネート。『The way we dance -狂舞派-』(13)では、第33回香港電影金像奨・新人監督賞を受賞し、数々の映画賞にノミネートされるなど高い評価を得た。その後、『私たちが飛べる日』(15)でも好評を得て、『狂舞派3』(21)は、第57回金馬奨で6部門にノミネートされ、同映画祭クロージング作品として上映。さらに、アジア・フィルム・アワードで最優秀作曲賞を受賞し、同年の香港映画評論学会の推薦作品にも選出される。本作『私たちの話し方』(24)は、第68回BFIロンドン映画祭でプレミア上映され、第61回金馬奨、第43回香港電影金像奨で多数の賞にノミネート。第24回ニューヨーク・アジア映画祭では観客賞を受賞。監督業の他に、俳優として映画やドラマにも出演。スタジオ・ジブリ作品『風立ちぬ』(13/宮崎駿監督)では、主人公・堀越二郎の広東語版声優を務めた。さらに、テレビCMの演出や大学での映画制作指導など、幅広い活動を行い、香港映画界を代表する一人として注目を集めている。
主題歌
パンサー・チャン
Panther Chan [陳蕾]
1990年、中国・広東省生まれ。18歳で単身香港に渡り、歌唱オーディション番組「亞洲星光大道/Asian Millionstar」第1回大会に出場し、第4位に入賞。デビュー以降、香港の音楽シーンで着実にキャリアを重ね、2023年には数々の音楽賞で最多受賞を果たす。『私たちの話し方』では主題歌を担当するとともに、劇中にも本人役で出演している。

主題歌「What If」日本語字幕付きMV