原題:탑
ベルリン国際映画祭銀熊賞5度受賞 名匠ホン・サンス監督作
それはモノクロームの儚い夢か、それともパラレルワールドか――
迷える映画監督と4人の女たちが織りなす映像世界
国内外の批評家絶賛!人生の摩訶不思議さを紡ぎ上げた
4階建てのアパートを舞台にした、芸術家たちの4章の物語
ベルリン国際映画祭で銀熊賞を5度受賞した名匠ホン・サンス監督の長編第28作目となる本作は、都会の一角にたたずむ地上4階・地下1階建ての小さなアパートを舞台にした人間ドラマである。
映画監督のビョンスは、インテリア関係の仕事を志望する娘のジョンスと一緒に、インテリアデザイナーとして活躍する旧友ヘオクの所有するアパートを訪れる。そのアパートは1階がレストラン、2階が料理教室、3階が賃貸住宅、4階が芸術家向けのアトリエ、地下がヘオクの作業場になっている。3人は和やかに語り合い、ワインを酌み交わすが、仕事の連絡が入りビョンスはその場を離れる。ビョンスが戻ってくると、そこには娘のジョンスの姿はなく…。
アパートの階をひとつずつ上がるごとに、いつしか物語は4つの章へと枝分かれし、ビョンスと彼を取り巻く女性たちの人間模様は予測不能な方向へとねじれていく。果たしてこれは“もしもの人生”を提示したパラレルワールドなのか、それとも…?ユーモア溢れるトリッキーな仕掛けから、芸術家たちの葛藤やささやかな喜び、そしてままならない人生の本質が浮かび上がっていく。
映画監督ビョンスに扮するのは、ドラマ『冬のソナタ』(02)のキム次長役で知られ、Netflixドラマ『寄生獣 ―ザ・グレイ―』(24-)などで活躍するクォン・ヘヒョ。ホン・サンス作品では『それから』(17)以来の単独主演を務めた。さらに韓国を代表する名優イ・ヘヨンや、ホン・サンス監督常連俳優のソン・ソンミ、チョ・ユニらが脇を固め、迷走中のビョンスの人生を揺らめかせる。