Introduction
「あなたは永遠に私のもの―」天才作曲家の“世紀の悪妻”アントニーナ。心を苛むほどの狂愛を鬼才キリル・セレブレンニコフが大胆な解釈で映像化。
「白鳥の湖」「くるみ割り人形」などで知られるロシアの天才作曲家ピョートル・チャイコフスキー。かねてから同性愛者だという噂が絶えなかった彼は、恋文で熱烈求愛する地方貴族の娘アントニーナと、世間体から結婚する。しかし女性への愛情を抱いたことがないチャイコフスキーの結婚生活はすぐに破綻し、夫から拒絶されるアントニーナは、孤独な日々の中で狂気の淵へと堕ちていく…。 監督・脚本は、ベン・ウィショー主演の最新作『Limonov:The Ballad(原題)』が、第77回(2024年)カンヌ国際映画祭コンペティション部門で上映され、大きな反響を呼んだ、鬼才キリル・セレブレンニコフ。歴史の陰に埋もれたアントニーナの実像を、史実に従いながら大胆な解釈を織り交ぜて描いた。
フランスで異例の大ヒット!タブー視されたチャイコフスキーのセクシュアリティ、
帝政ロシア社会における女性の抑圧を今に伝える斬新な伝記映画。
女性の権利が著しく制限されていた19世紀後半の帝政ロシアを背景に、チャイコフスキーが同性愛者だったという、ロシアではタブー視されてきた事実を明確に描き、夫婦間の知られざる真実に迫る本作は、第75回(2022年)カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、名だたる批評家たちの賛辞を獲得。絵画的な映像美や流麗なカメラワークなど、型破りなまでに刺激的な映像世界も話題を呼び、フランスでは17万人超を動員する大ヒットを記録した。チャイコフスキーに疎まれながらも想い続ける、“世紀の悪妻”アントニーナの残酷な愛のかたちとは─。観る者の心をかき乱す、ラストの狂乱のダンスシーンもお見逃しなく!
Story
ロシアの天才作曲家ピョートル・チャイコフスキー。かねてから同性愛者だという噂が絶えなかった彼は、恋文で熱烈求愛する地方貴族の娘アントニーナと、世間体から結婚する。しかし女性への愛情を抱いたことがないチャイコフスキーの結婚生活はすぐに破綻し、夫から拒絶されるアントニーナは、孤独な日々の中で狂気の淵へと堕ちていく…。
Director
監督・脚本
キリル・セレブレンニコフ
Kirill Serebrennikov
1969年、ロシア、ロストフ・ナ・ドヌ生まれ。演出家・映画監督。ロストフの劇場で演出家を務めたのち、2000年代以降はモスクワ芸術座などで、数多くの舞台の演出を手がける。2012年には若くして権威あるゴーゴリ・センターの芸術監督に指名され、鬼才演出家として頭角を現す。2017年、国からの演劇予算の不正流用を疑われて詐欺罪で起訴され、自宅軟禁に。かねてより政権に批判的な姿勢を明らかにしていたため、この逮捕を不当な政治弾圧と見る向きもあり、演劇界・映画界からセレブレンニコフを支持する声が上がった。2018年8月にフランス芸術文化勲章最高位を受章。2020年6月10日に有罪判決が下され、執行猶予付き3年の刑及び罰金が科され、保護観察下に置かれる。2022年3月、容疑取り消し裁判の決着後にロシアから亡命し、現在はドイツなどを拠点に制作を続けている。主な監督作に、第69回カンヌ国際映画祭フランソワ・シャレ賞受賞作『The Student(英題)』(16/未)、第71回カンヌ国際映画祭サウンドトラック賞最優秀作曲家賞受賞作『LETO -レト-』(18)、第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作『インフル病みのペトロフ家』(21)など。本作『チャイコフスキーの妻 』(22)は、第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された。さらにベン・ウィショーがロシアの活動家、エドワルド・リモノフを演じた最新作『Limonov: The Ballad(原題)』(24)は、第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて上映されるなど、今世界から最も注目される演出家・映画監督の一人として躍進を続けている。
Filmography
1998年
『Undressed(英題)』
2003年
『Bed Stories(英題)』
2004年
『Ragin(英題)』
2006年
『Playing the Victim(英題)』
2008年
『Yuri’s Day(英題)』
2012年
『Betrayal(英題)』
2016年
『The Student(英題)』
2018年
『LETO ‒レト‒』
2021年
『インフル病みのペトロフ家』
2022年
『チャイコフスキーの妻』
2024年
『Limonov: The Ballad(原題)』
Cast
アリョーナ・ミハイロワ
アントニーナ
1995年10月11日、ロシア、ペルミ生まれ。幼少期は体操、ボート競技、陸上競技、サッカー、バスケットボールなどに打ち込むが、怪我によりスポーツのキャリアを断念し、ペルミ国立文化大学で演劇・俳優コースを専攻。卒業後にモスクワに移り、映画界でのキャリアをスタートさせる。2019年にマリア・アグラノヴィッチ監督『Love Them All(英題)』で初の主役を演じ、注目を集める。2020年に放送された人気TVシリーズ『Chicks(英題)』ではメインキャストを演じ、以降多数の映画・TVシリーズに出演。本作『チャイコフスキーの妻』(22)のアントニーナ役はオーディションで勝ち取り、その圧倒的なパフォーマンスは批評家から絶賛された。
オーディン・ランド・ビロン
チャイコフスキー
1984年10月5日、アメリカ、ミネソタ州ダルース生まれ。モスクワ芸術座付属演劇大学で演劇を学ぶため、20歳でロシアに渡り、優秀な成績で卒業する。その後、モスクワのサテュリコン劇場に劇団俳優として所属し、2010年からはロシア国内で最も人気のあるシットコムのひとつ『Interns(英題)』に出演。2013年、キリル・セレブレンニコフが演出するニコライ・ゴーゴリの名作『死せる魂』の主役チチコフを演じたことをきっかけに、ゴーゴリ・センターの劇団俳優として8年間活躍。ロシアの権威ある演劇賞であるゴールデン・マスク賞に2度ノミネートされるなど、高く評価される。その後もセレブレンニコフとのコラボレーションを続け、本作で長編映画初主演を果たす。2022年3月、ロシアによるウクライナ侵攻のため、モスクワを離れ、現在はドイツを拠点に活動。その他の出演作に、『マチルダ 禁断の恋』(17/アレクセイ・ ウチーチェリ監督)、『スペースウォーカー』(17/ドミトリー・キセレフ監督)、セレブレンニコフ監督の最新『Limonov:The Ballad(原題)』(24)など。
フィリップ・アヴデエフ
アナトリー&モデスト/チャイコフスキーの双子の兄弟
1991年11月10日、ロシア、モスクワ生まれ。幼少期から舞台、映画、テレビシリーズで俳優としてのキャリアをスタートする。2008年にモスクワ芸術座付属演劇大学へ入学し、セレブレンニコフのクラスで学ぶ。2012年に卒業後、ゴーゴリ・センターに入団し、20回近く主役を演じる。『LETO -レト-』(18/セレブレンニコフ監督)、『ワールドエンド』(19/イゴール・バラノフ監督)、『チェルノブイリ1986』(20/ダニーラ・コズロフスキー監督)など多数の映画やTVシリーズに出演し、活躍の場を広げている。
ユリア・アウグ
教会にいる女性
1970年6月8日、ロシア、レニングラード生まれ。数々の舞台や映画に出演しながら、2011年には『Varene iz sakury(原題)』で監督を務める。主な出演作に、『神聖なる一族24人の娘たち』(12/アレクセイ・フェドルチェンコ監督)、『LETO -レト-』、『コンパートメント No.6』(21/ユホ・クオスマネン監督)など 。セレブレンニコフ監督の『The Student(英題)』(16)では、ロシアの権威ある映画賞Nika Awardsで助演女優賞を受賞するなど存在感を放つ。